| こきゅ。 …米屋地獄 その2… 「佐原さーん、どこですかぁ〜?配達お願いしまーす」 ぼーっと裏口でしゃがみこんでタバコなぞ吸っていたら、店のなかでここんちの看板娘が俺を捜してる。 はいはいはい今行きますよ…っと、立ち上がれば、こころなしかまだケツが痛い気がする… 悪夢のような…う〜ん…でも、ちょっと気持ちいいことは良かったかも?…って、いかん。そっちに目覚めるのは危険だっ!! でも、状況は最悪、立場は逆でも、奥さん、俺の上で喘ぐことは喘いでたんだよな…乱れ髪が壮絶に色っぽくて、犯罪的にかわいかった…ううっ、形はどうあれ、奥さんの初物は俺がもらったみたいだし、だいたいあんな旦那にとっ捕まって、東京湾に沈まなかっただけ良かったと思わねぇと…ああ〜っでも奥さんに、もういっぺん会いてぇ…ここんとこ、絶対旦那が来ない時間に行っても、中に人の気配あるのに、ぜんぜん出てこないんだもんなぁ… 「佐原さん…って、あ、いた」 数週間前のえろかわいい奥さんの、裸エプロンな恰好を思い出して、鼻の下を伸ばしきってたところで、この西尾米屋の看板娘に発見される…かなりの気まずさを笑ってごまかし、俺はひったくるようにして、配達先が記されたメモを受け取った。 配達する米は、ラッキーな事にオヤジさんが車に運び込んでくれていた。 車中で配達先を確認して、俺はついに妄想が見えるようになったかと、自分の目を疑う。 遠藤なんて苗字はありふれているが、住所を見ると間違いなく、あの奥さんがいるトコだ。 今日は平日、昼下がりの午後…当然、旦那は仕事で留守… まさかまさかと思いながらも、発注単位が2kgの袋がたった一つとなると、もはや奥さんが俺に会うための口実としか思えず、思考は短絡的に桃色映画の展開に… 「うっしゃーっ!!他の配達とっとと済ませちゃいますから、待っててくださいよぉ〜っ!!奥さ〜ん!!」 カーステフルボリュームで、でかすぎるひとりごとをごまかしているとはいえ、車中でガッツポーズをとってるところで通行人と目が合うと、けっこう恥ずかしい… とにもかくにも、ルート、ボリューム的に軽く1時間はかかる配達を20分で済ませ、遠藤さんちへ…40分あれば一通りのことはできる。まあ、多少長引いても、ついでに御用聞き回りをしてたことにすればいい。 ピンポーン… とりあえずチャイムを鳴らす。 …が、これまで御用聞きに来たときと同じように、反応がない。 まさか、留守? この期に及んでそりゃねぇべ…と、がっくり来たとき、カタ…ッと微かにドアの向こうで音がした。 もう一回チャイムを鳴らしてみる…が、やはり出ない。 なんとなくドアノブを回してみると、鍵はかかっておらず…おそるおそるドアを開け、米屋佐原の目にしたものは… 「お…奥さんっ!!」 若奥様カイジが裸エプロン姿で猿轡をされて縛られていた。それも足首をモップの両端に固定されている状態…肝心な部分はエプロンで隠れてしまっているが、それがまたどうにもチラリズム。 佐原はごくりと生唾を飲む。 「ひどい…いま解いてあげますから…」 本当は妖しくも艶めかしいこの状態のまま、襲いかかりたいところだが、旦那のSM趣味に嫌気が刺して、自分によろめいてくれたのかもしれないと思うと、そうもいかず… ぐったりしていたカイジは、近づく人影に、ビクッと顔を上げて佐原を見…怯えるような表情でなにかむぅむぅ言いだした。 次の瞬間、佐原の脳天にガコンと強い衝撃!! なんかそういえば、最近こんなこと、あった気がする… 遠くなる意識の片隅で、デジャヴ… しくしくと、耳元で誰かの泣く声がする。 ああ、あの奥さんの声だ… 泣かなくったっていいのに…俺なら絶対、泣かせないのに…大事にするのに… 深いくちづけを交わした際特有の水音がして、ああ、俺は奥さんにキスされてるんだなぁ…と、感慨深く思う佐原だが、人の重み、ぬくもりは自分の体の上で感じるのに、はっきり聞こえる水音は耳の真横。それも吐息に若奥様とは違う、別の男のものが混ざる。 「遠藤さん…どうしてもやらないと、許してくれないのか…?」 「許すもなにも、旦那様のケツの穴に指突っ込むほど欲求不満の奥様のために、準備してやったオモチャだ。使うのが礼儀ってもんだろう?」 「やだっ…遠藤さんがいいっ」 「なに言ってやがるっ!この間はこいつであんなにノリノリだったくせにっ」 どこをどうとっても、犬も食わない痴話ゲンカ以外の何者でもないが、ここに出てくる『オモチャ』って単語は自分のことなんだろうなぁ…と思うと、自然と佐原の眉間にしわが寄る。 大体、ドアを開いたら若奥様があんな恰好で縛られていた時点で、予測すべき展開ではあった。 突然、自分の背後の、暖かいが固いマットが動いたかと思うと、自分の腕の脇からも、やはり人肌のぬくもりのなにかかが動いた。 自分の耳の真横で痴話ゲンカが展開されていれば気付きそうなものだが、考えたくないこと、信じたくないことは、直視しないように人間の精神は出来ているらしい… 「…なんのかんの言っても、こっちはすっかりやる気じゃないか」 いやらしい笑い含みの声で、カイジを弄りつつ、遠藤はカイジのそそり立っているそれを、指でつーっとなぞる。 「ああ…っ…」 押さえようとしても押さえきれない、情欲に湿った吐息が若奥様の口から漏れる。 あのときの再現…しかもこの前よりさらに近いかぶりつきアリーナ席で、旦那は見ている。 冗談じゃないっ、この変態夫婦がっ!と叫び、逃げだしたい反面、若奥様への未練が、米屋の行動を鈍らせていた。 前回は偶発的なこととはいえ、今回はおそらく、未だ若奥様の周りをうろうろしている佐原を自分から来たくなくなるようにするための、遠藤の罠である。 旦那の思惑にまんまとはまってやることもムカつくが…逆に考えれば、自分がしたい形とは逆の立場とはいえ、若奥様との再びの情交のチャンスでもある。若奥様のオスの部分の本能がされることより、するほうを望むようになれば、自分の方に傾いてくる可能性もないわけではない。 本当に自分の物になりさえすれば、後は腕力でねじ伏せつつ…えさ代わりに20回に1度くらいならケツを貸してやってもいい。 なぞと、目を閉じて寝たふり佐原が計算してる間も、痴話ゲンカは続行中… 「眠ってる間に済ませてしまえば、少々ケツが痛いくらいのダメージで終わるかもしれんぞ?」 「寝てる間に強姦て、人としてどうなんだよっ!」 「起きてればいいのか?…まぁ女相手ならこんなことはしないさ。ただ、お仕置きしても人様の奥方に色目を使うような、物覚えの悪い野良猫には、少なくともウチには来たくなくなるように、何回でも教育してやらんとな。それともお前、こいつに惚れてるのか?」 「ないっ!!それだけは断じてないっ!!」 即答にして断固たる否定に、佐原はグサリと傷ついた。 そんな…それでも一回はやった(というか一方的にやられた)仲じゃないか。同じことを言うにしても、ちょっとくらい躊躇してみせるとか… 「じゃぁ、お前がどんな顔で男を可愛がるのか、俺によーく見せてくれよ」 「あんたがさせてくれればいいじゃないかっ」 「俺のケツを貸してやるのは、一応、亭主の沽券に関わるんでな。この小僧はお前に惚れてるみてぇだし、可愛がってやればいいじゃないか」 「………くっ…」 若奥様は旦那の好き勝手な理屈に腹を立てつつも、もう、言い募る言葉が出てこないらしく、くちびるを噛み締め、声を詰まらせる。 「これが最後だからなっ…もう二度と、他人を巻き込むようなことはしないんだからなっ」 やっとのことでその言葉を吐き出す若奥様に、「ああ…約束する」と応える遠藤氏… 言葉とは裏腹になにやら不穏な笑みを浮かべるその様子に、きっとこれが終わっても、別の悪だくみを考えているのだろうと、薄々気付いているカイジではあったが、旦那様はどの道やらなければ、終わらせるつもりはないのである。 カイジ奥様は普段は足首に長い鎖がついているが、今は首輪に鎖がついている。手綱を握っているのはもちろん旦那様…本当の意味でひどいことをされたことはないと思っているカイジだったが、もし戯れにエセ金髪の米屋と鎖でつながれてしまったら厄介である…
文句を言いつつ、またこんなことをやめさせようと泣きぬれつつも、結局、米屋を脱がせたりなんだりに加担…さすがに気の毒に思いつつ…でもそもそも先にちょっかいかけて来たほうが悪いと、強引に自分の心を鬼にして、奥様は再び挑むことに決めた(生活をともにしているうちに多少遠藤カラーに染まったらしい)。 寝たふり半分、目を開けて現状を確認するのが恐いのが半分の佐原は、未だ目を閉じたままなので、自分ではどういう状態になっているのか具体的にはわかっていないが、前回の経験と感覚から、拘束されているらしいことはわかる… 実際のところ、先ほど若奥様が縛られていたのと同じように、モップのポールに開脚状態で足首を括りつけられている。腕は後ろ手、手首には若奥様仕様の白いふわふわ毛皮の手錠…かわいらしいといえばかわいらしいが、似合う似合わないは見る人によるだろう。 ともあれ、ようやく決心を決めたらしい若奥様に遠藤、用意しておいた小道具を、足で奥様の元へ追いやった。 「前は濡らしもしないでお米屋さんにぶちこんだせいで、聞くところによると、しばらく仕事に響いたらしいから、今日はたっぷり濡らしてやれよ?お前の大好きなやつでな」 小道具は媚薬入りのクリームである。 効果を身をもって知っているカイジは、一瞬、嫌な顔をした。 これを使われると、とにかく体が熱く火照り、疼き、思い出したくないが、とにかくはしたなくねだるハメになる。正直好きではないが、遠藤が自分に使うのは、まあ…かまわない。だが、米屋にとなると…別に自分は気がない相手にしつこくせがまれることを考えると、なにやらげんなりする若奥様である。 でもまぁ…こういうのは体質ってあるだろうし… 媚薬効果が米屋に現れないことを祈りつつ、それ以前に目を醒まさないことをひたすら願い、カイジはクリームを掬い取った指先で佐原のそこへ触れる。 ヒヤリとした感触が、自分の本来出るほうの一方通行でしかありえない門の辺りを撫で、更に内部に侵入すると、佐原はビクリと体を震わせた。 『イヤだ』とつい、言ってしまいそうになってしまう自分を必死で押さえ、くちびるを噛み締める。 若奥様と二人きりでなら、母性(?)本能をくすぐるかもしれないことに可能性をかけて、醜態も晒すが、自分が今いるのは、恋敵の人間椅子の上…反応すれば自分の背後のヤツを面白がらせてしまうことは目に見えている。とにかく過剰な反応は避けなければならない。 でも、奥さんの指が、奥さんの指が… ためらいがちにだが、優しくほぐしてくれるのである。 男に突っ込まれることは、非常に抵抗はあるものの、風俗でおねえちゃんにこの手のサービスを受けるのは、実はお好きな成人男子。 遠藤、これを見てククッと笑い、 「お客様はサービスして欲しいみたいだぜ?奥さん」 なぞと意地悪を言う。 若奥様は遠藤氏を睨むが、やがて小さくため息をつき…旦那様に大きさだけなら勝るとも劣らないそれを一瞥する。 これだけ張り詰めていて、先走りの涙をこぼしているのを見ると、確かに直接的刺激がないと切ないだろうなぁ…とは思いつつも、口に含むのは旦那様のモノ以外、お断りである。だが、旦那様はなにやらショーを期待しているらしい… 自分のはもちろん、旦那様のをお慰めするときの力加減は大体わかるが、赤の他人様のモノを握るのは初めてなので、かなりおっかなびっくりしながら上下に扱き、ときおり親指で涙をこぼしている敏感な先端をこすってやる。もう片手は相変わらず、禁断の入り口をほぐしつつ…を同時進行。 佐原の足を固定しているモップのバーが邪魔で、姿勢がかなり不自然なせいもあるが、普段使わない腕の腱を使っているので、なにやら筋が攣りそうな感覚がしているカイジ奥様である。 そーゆーご商売の人も大変だなぁ・・・と、幾分現実逃避気味に思っていると、 「他にもかわいがってやるところがあるだろう?」 と、呆れた風を装いつつ、面白がっている旦那様の声が飛んできた。 両手がふさがっていなかったら、頭を抱えたいカイジ奥様。 口にちゅーは言語道断っ!耳も遠藤さんにキスできるくらいの至近距離で見られるのはやだっ!そうすると首筋とかも自動的に却下。…となると乳首か?うう〜っ・・・ などと、自分の性感帯と照らし合わせながら、いつも自分が遠藤に可愛がられるやり方を頭の中でシュミレーションして、赤くなるやら青くなるやら。 揉みほぐしている段階で、すでに倫理的に難アリ・・・どころか、相手の同意がない段階で犯罪である。この期に及んでなにを迷っているのやらと、苦笑しつつも、若奥様のリアクションは見ていて飽きない遠藤氏である。 着々と、意識のない(実はあるが)相手を犯す準備を進めているのに、まるで自分が犯されるかのように、嫌々なのが顔に出まくりの若奥様。眉根を寄せつつ、佐原の厚くはないが適度に筋肉のついた胸板にくちびるを寄せる。 幾分濃い色の小さな突起に舌を這わせ、チロリと舐めあげた。 佐原はこそばゆさに笑いたくなったが、そこも耐えねばなるまい・・・ 旦那様はこういうとき、カイジの胸の敏感な突起に、軽く時に強めに歯を立ててみたり、その後あやすように優しく舌先で愛撫したり、吸ってみたりするのだが、若奥様は米屋に同じようにするつもりはない。夫婦の空間に押し入ってきた闖入者を、わざわざ必要以上に気持ちよくしてやる気にはなれないのである(相手にとってそれが気持ちいいことなのかどうかはさておき)。 だが、ただぺろぺろ舐めるだけでは、また、旦那様に怒られてしまいそうなので、とりあえず、吸ってみた。 相手のを舐めたり齧ったりしゃぶったりの経験はあっても、自分のはされたことのない佐原は、未知の感覚に内心動揺・・・ やべっ・・・なんかヘンだ・・・ こそばゆいような痛いようなカンジについてもそうだが、赤ん坊のように乳首に吸い付いてるカイジがいとおしくてならない。腕が自由なら頭を撫でて抱きしめてしまいたい。 母性本能・・・?そんなバカなっ!! だが、そのことについて深く考える間もなく、思考は霧散した。 空いている右の乳首を遠藤がつねったのである。 痛みとともにジーンとくる何か・・・自分のプライドに懸けて、そんなところで感じているなどと、特に背後の男には知られてはならない。 眉間にしわを寄せてくちびるを噛み締め、達しそうになることを耐えるが、その様子を傍から見れば、すべてモロバレである。 「おいそろそろ・・・」 「遠藤さん、俺、ダメだ」 夫婦の言葉が同時にハモった。 いろんな意味でベソをかいてる若奥様の様子を見れば、先ほどまで反り返っていた可憐なそれが、すっかり萎れている。馴れない下準備やら、旦那様のオーダーと自分との折り合いをつけるのに色々考えてしまっているうちに、そちらの方に血液が回らなくなったらしい。 しょうがねぇなぁ・・・と遠藤氏。 「俺のほうに顔を近づけろ」と、カイジ奥様に命令すれば、若奥様は帰宅した飼い主を待ち侘びていた仔犬のような勢いで、佐原の体ごと遠藤に抱きついた。 またも、佐原の顔の横で、夫婦の濃厚なキスのやり取りが展開されるわけだが・・・佐原の体に当たっているカイジのそれが、旦那様とのキスだけで硬くなるのを感じる佐原・・・俺ってそんなに魅力ないのか?と、なにやら非常にショック・・・自分には断じて受身属性はないが、惚れた相手にここまでされた挙句、当の相手に一切その気がないというのも、それはそれで傷つくものである。 ただ、それも序の口。 再び挿入可能な状態になったカイジ。 モップと佐原の開脚した足の間に体をくぐらせ、この上なく密着した状態で、柔らかくほぐれた佐原に自分のそれを押し当て、ためらいがちに侵入。 以前とは違い、入念にほぐされたため痛みはなく・・・しかも前回は激痛にかき消され、ほのかにわかる程度だったが、カイジ奥様のそれは、佐原の内部の敏感な部分に具合良く当たる…動かれるともうたまらなかった。 荒い吐息と滴る汗・・・気付かれぬよう薄目で見た若奥様の潤んだ瞳と紅潮した頬が艶めいて、それが自分の体で感じているためだと思うと、先ほどのつれない態度も苦にならない・・・はずであった。若奥様の口からこぼれるうわごとに気付きさえしなければ・・・ 「えん・・・ど・・・・・・遠藤さん・・・」 奥さん、それってすごく失礼ってゆーか、サイテーなんですけど・・・ 登りつめる寸前で冷や水を浴びせかけられたような佐原・・・ふと、自分の腰の辺りに当たっている恋敵遠藤のそれが、硬く熱く息づいているのに気がついてしまい、非常に嫌な予感・・・ ともあれ、狂乱の宴はまだ始まったばかり。 さて、浅い眠りから現実に戻れば朝である。 確かに体のいたるところゴワゴワベタベタ気持ち悪かったので、「シャワーが使えるから使っていけ」という言葉にうっかり素直に従ってしまい、熱い湯を浴びてもまだ頭がすっきりせず、ボーっとした状態で「ついでだから朝飯食ってけ」といわれ、うっかり居間の畳の上に座ってしまったところで、ようやくハッと目が醒めたような状態の佐原。 「どうぞ」と視線を逸らしつつ、どうみてもしぶしぶ座布団を勧める若奥様の様子を見れば、あれは夢ではなかったのだと実感・・・悪夢であって欲しかった。 「あ、いや、俺、帰りますから」 誰だって、朝っぱらから重苦しく気まずい食卓につきたいとは思わない。まして想い人が一緒なのはいいとしても恋敵まで一緒である。 「晩飯も食ってないんだし、お前の大好きな奥さんが、せっかく自分のシャケを譲ってくれたんだから、食ってけ」 見れば、ご飯みそ汁浅漬けは一緒だが、若奥様だけメインが目玉焼きである。基本的に夫婦二人分の食材しかなかったところへ、急の不本意の来客…客ともなれば一応はおもてなしをしなくてはならず、しかたなく自分のシャケを譲ったらしい。 そうまでして準備してくれたとなると、さすがに食べないというわけにもいかず、佐原は手を合わせて箸を取った。 シャケは絶妙な塩加減、浅漬けも歯ごたえを失うことなくうまく漬かっている。豆腐となめことわかめのみそ汁はもう、言うことなし・・・毎朝こんな朝食を食べられる旦那が心底うらやましい…が、なにやら妙な雰囲気に飲まれ、さすがに食欲は控えめである。 若奥様の様子を見ると、ちょこちょこと目玉焼きを箸でつついていたが、食べるわけではなく、もてあましているといった風情・・・ふと佐原と目が合うと、睨みつけるなり、ぷいっと顔を背けてしまう。 なんだよ、それ・・・俺、被害者なのに・・・ 記憶のそこに埋めてしまいたい夜の続きが、まざまざと甦る。 カイジ奥様が佐原の中に吐精した後、とんでもないことに、 「どれ、奥様の使ったお道具の具合を試してみるか」 などと言いつつ遠藤が、カイジの放出したものでぬめる佐原のそこを、自らの大砲で貫いたのである。 これにはさすがに佐原も、声を上げずにはいられなかった。 従順な若奥様も、これには泣いて叩いて遠藤を止めたが 「夫婦なんだから、気持ちいいことは共有しないとな」 と、遠藤、聞く耳持たず… 若奥様、しばらく呆然としていたが、鎖の端は相変わらず遠藤が握っており、立ち去ることも叶わず、かといって、何もしていないのは落ち着かないのか・・・身を屈め、佐原の足の間に顔をうずめると、遠藤と佐原の結合部に舌を這わせ始めた。 長い黒髪が先端をさわさわとくすぐり、また、無理に押し広げられ、充血した入り口を舌で慰められるのも、それなりに心地いいのだが、それが誰のための行為かといえば・・・・・・旦那をより気持ちよくしたいがための行動であると思うと、泣きたくなった。 やがて、遠藤が白濁の液体を佐原の内部にぶちまけると、カイジは自分のそれと、遠藤のそれがまざりあった液体を、まるで一滴たりとも他人の内部に残したくないとでも言うように、音を立てて啜りだし…顔を上げたときの蕩けた表情の淫猥さは、思い出すだけでめまいがしそう。 そのほかにも、奥様とする前に塗りこまれた媚薬が、ずいぶん後になって効いてきたのか、いろいろしたようなされたような憶えはあるが、そのへんになるともう、泥酔したときのように記憶がぶっつり途切れている。
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